Monthly Archives: 3月 2020

わたし的「スカーレット」辞典

今年に入ってからの投稿は、ライブの告知と報告だけになっていましたが・・・
今日最終回を迎えた、朝ドラ『スカーレット』。
派手さは一切ないながらも、淡々と、でも、全体を通して、人間の心のひだを繊細に表現されていて、素晴らしい作品でした。

『なつぞら』に続き、わたし的メモを書き留めておきます。
今回は一気に半年分なので、ボリューム満点。
ご興味ある方は、気分転換にどうぞ。
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◎わたし的「スカーレット辞典」その1

◆キャストについて(話したいことがある人だけ)

・戸田恵梨香(川原喜美子)
これまで、私の中で、彼女の適役の一番は『SPEC』の「当麻紗綾」だったが、今回は、変人でない役どころを、地味に、自然に、力強く、深く、あっさり、15歳から40代後半まで演じきった表現力は凄まじかった。相手のセリフを聞きながら、わざと反応せずに知らんぷりして、作業したり、食べ物も口に運ぶしぐさに、よく目が留まった。

・北村一輝(川原常治)
最初に、喜美子と常治のキャストを見た時に、『SPEC』だ!と。普段、威張り散らしている常治だが、北村一輝が弱い立場で戸田恵梨香に絡むところは面白かったし、横暴の中にも、時おり見せる、娘に向ける愛情表現も愛おしかった。

・富田靖子(川原マツ)
私の中では、MVP。とにかく、彼女のセリフがないところの表情表現が素晴らしかった。普段は控えめなのに、喜美子・直子・百合子の「恋バナ」の時には、大人の女の顔で”貫禄”だった。コーラスで声を潰して声が出ない状況で、妊娠したと嘘をついた直子に対して、ほうきをぶんまわすシーンも最高だった。ちなみに、『鈴木先生』での「足子先生」役の怪演は印象的過ぎて忘れられない。あと、なぜか30年以上忘れられないのが、1986年放送の『なんて素敵にジャパネスク』での主演「瑠璃姫」。相手役は木村一八。

・桜庭ななみ(川原直子)
影のMVP。スカッとする喋りっぷり。潔さ。気の強さの中で見せる、不器用さ、女性のかわいらしさ、優しさ。これまで、正直、女優として全く意識していなかったが、株、急上昇。

・福田麻由子(川原百合子)
失礼ながら、美人女優とは言えないのに、なぜこんなにかわいいと思わせる、なんとも不思議な魅力を持つ女優さん。立ち振る舞いも、話し方も、醸し出すオーラがかわいい。実は子役の頃から印象的で、2005年『救命病棟24時 第3シリーズ』(この第3シリーズは名作!!)に出演。大人に成長後、2016年NHK『最後のレストラン』の時もかわいかった。あ、今Wikipedia情報で、大学の後輩だと知る。

→この川原3姉妹は素晴らしい人材だった!!

・松下洸平(十代田八郎)
当初は、今回初めてこの役者さんを知ったと思っていたのだが、2018年放送『捜査会議はリビングで!』で交番の警官役として目にしていたことを、今年2月から放送していた『捜査会議はリビングで おかわり!』を観ていて気づく。シーズン1では地味なだけだったのに、シーズン2では妙に魅力的に見えたのは、こちらが朝ドラで親近感を持ったという事だけでなく、八郎を演じたことによる自信によって、放つオーラが変わったのだとも思う。あと、私は関西弁のことはわからないが、東京出身にしては、かなり自然だったのでは・・・?ちなみに、『SPEC』での戸田恵梨香のパートナー、加瀬亮と印象がかぶる。もちろん、見た目だけでなく、今回のパートナーとして、ピッタリだった。

・伊藤健太郎(川原武志)
多くの皆さんは、出世作である『今日から俺は!!』での「伊藤」の印象が強いと思うが、私の一番は『アシガール』での「若君様」!下記の黒島結奈との相性も抜群で、「唯(唯之助)」への愛情に、キュンキュンさせられた!!もちろん、今回の武志役もよかった。難しい役どころに、低めのテンションで、両親との熱量のバランス、相性もすごくよかったと思う。

・黒島結奈(松永三津)
彼女は、元気で、男の子っぽく、さっぱりした役がピッタリなので、今回の役は、少々彼女の魅力が出にくかったのではと思う。・・・でも、女性女性した人でも違う気がするし、これはこれで、なのかもしれない。彼女は、上記の通り、『アシガール』の「唯(唯之助)」役が最高!!

・大島優子(熊谷照子)
女優業では、元AKBという肩書は、イメージ的にはマイナスに働きがちだが、さすが子役出身。実力派。私が初めておおっ。と思ったのは2013年『安堂ロイド』でのキムタクの妹役。そして彼女も『SPEC』出演者。

・林遣都(大野信作)
『べっぴんさん』以来の朝ドラ出演。彼は二枚目役より三枚目役で断然活きる。キザなドラマーよりも、百合子とイチャイチャしている信作の方が魅力的。

・佐藤隆太(草間宗一郎)
本人はいたって控えめなのに、序盤から終盤まで、どこへ行っても「草間流柔道」で通じてしまう存在感。劇中では、登場するとなぜか、安心感を覚える存在に。佐藤隆太自体は、以前は元気いっぱいのイメージだったが、ここ数年は、影のある役が似合う。

・イッセー尾形(深野心仙)
満面の笑みで絵付けをする理由を、喜美子に話すシーンが最高だった。不思議な癒しの演技。
一方で、同時期に放送の松田龍平主演のNHKドラマ『歪んだ波紋』では、気難しい役を。対照的な演技で、改めてすごいと思った。『アシガール』でも、主人公「唯之助」の味方のいい役だった。1987年銀河テレビ小説『まんが道』でも印象的で。『お笑いスター誕生!』の時から、独特なイメージがあったが、本当に稀有な役者。「ええよぉ。」

・水野美紀(庵堂ちや子)
大阪編を大久保さんと共に締めてくれた存在。溝端淳平演じる酒田圭介に、再会時、開口一番「おはぎ」のつっこみを入れたという話では、「よくぞ言ってくれた!」と思った。サバサバした優しさが身に染みる。ちや子さんの握手は、相当な力をもらえると思う。

・ 木本武宏(田中雄太郎 [設楽太郎])
『あさイチ』出演、「さいなら」フルコーラス生歌唱で、一気に株が上がった(笑)

・尾上寛之(掛井武蔵丸・・・「信楽窯業研究所」の指導者)
失礼ながら、本名を見ても、ピンと来ない方も多いと思うが、『カーネーション』の「勘助」。『アンナチュラル』で異常性のある犯人だったり、陰湿な役が多かったが、今回、珍しく、明るくまともな役どころだと思った。・・・が、勘助役の印象が強すぎて、『ひよっこ』で、三男の兄役(佐藤仁美を嫁にもらう)で、普通に明るい役で出演していたことをすっかり忘れていた。実は、子役からの実力派で、朝ドラ出演は8本目。

・稲垣吾郎(大崎茂義・・・武志の主治医)
1989年『青春家族』(懐かしい!!)以来の朝ドラ出演。地上波復活も嬉しいし、基本的には俳優としても興味があるのだけど・・・一般にはこの主治医役は好意的な意見が多かったと思うが、彼が登場するシーンで、私は少々、このスカーレット自体や、他の出演者とは空気感が違うように感じ、つい、誰だったら馴染むのだろうと考えてしまった。もちろん、稲垣吾郎が悪いというわけではなくて・・・。

・松田るか(石井真奈)
私は今回初めて彼女の存在を知った。まだはっきりした関係でない時期に、武志の病気を知っても、自分の気持ちをぶつけ、強い意志で支え続けるという難しい役を、本当に「ちょうどよく」演じていた。少々強引な行動も、引っ掛かりなく見ることができたのは、彼女の演技力と、独自の空気感だと思う。

◎わたし的「スカーレット辞典」その2
『スカーレット』は脚本がすばらしく、数々の名言が。

◆名言集

■子供時代、お情けで、タダで紙芝居を見せてあげると声をかけられたが、見ずに帰った行動に対する理由を、自分でわかった喜美子。

「女にも!意地と誇りはあるんじゃーー!!」

・・・川島夕空ちゃん、素晴らしかった!

■幼児期の武志(成長した武志にも)に、喜美子。

「お母ちゃんが、武志の事どう思ってるか知ってる?」
「知ってる!好きや!」
「好きちゃうわ!大好きや!」

この2代目の武志は、小生意気ぶりがかわいかった~!!!
そして、武志発病後、親子3人で声を揃えるシーン!たまらない。

■美大に進学する武志に。喜美子

「なんでも楽しみなさい。つまらん時はつまらんことを、しんどい時はしんどいことを楽しむ。そして、お母ちゃんに会いたくなったら、会いたいなという気持ちを楽しみなさい。」

■陶芸の道に進む武志に、喜美子。(フカ先生の教え)

「近道はない。あってもお勧めしない。」

■戦時中、喜美子が直子の手を離してしまったことを、直子が鮫島に話した時に、鮫島。

「手は強く握ったままでは、汗でねちょねちょになるし、たまには離さないといけない。それか仲良く手を繋ぐコツ。」

・・・鮫島、見かけにいよらず、なかなかいいこと言う。

■武志が、自分の作品を誰にも認めてもらえないのではないかと心配になる時はないのかと、喜美子に話すと・・・

「一人もおらんいうことない。一人は絶対いるで。自分や。迷うた時はその一人に聞いたらええ。その一人だけは絶対に味方や。」

・・・そして、目に見えなくても、必ず見ていてくれる存在はいると、私は思う。

■武志が「みんなの陶芸展」で、ジョージ富士川(西川貴教)の提案のワークショップで書いた一言。

「いつもと変わらない一日は、特別な一日。」

■闘病中、一緒に陶芸をがんばっている(死期が迫っている)武志に。喜美子。

「ぎゅーしたろか?」→「ぎゅーしてええ?」

武志「えーに決まってるやん」

と言いつつ、一度照れて撤回しながらも、ハグ。

武志「幸せやで」

【番外編】

■武志が陶芸の道に進むと決めたあとの『あさイチ』での受けで、華丸。

「”今日から俺は陶芸家”ってことで、よろしいでしょうか?」

・・・ウケる!最高!

■戸田恵梨香『あさイチ』プレミアムトーク出演時。スカーレットの撮影中、忙しすぎて、セリフ覚えが早くなった話に、華丸。

「スペック」ですね。

・・・うまい!!

■戸田恵梨香『あさイチ』プレミアムトーク出演時。木本武宏が設楽太郎としてサプライズ登場。設楽太郎のCDが発売になったら、MVもつけて・・・という話に。
(番組中、途中まで見たMVで、身動きせずブランコに乗って歌う姿が強烈すぎて)大吉。

「ブランコから降りるのか、降りないのか。揺れるのか、揺れないのか。」

◎わたし的「スカーレット辞典」その3

◆その他、気になったシーン&個人的雑談

■お父ちゃん(北村一輝)が子供達に内緒で買ってきた赤い手袋。大野夫妻の機転で、子供達の元に届き、手袋をはめた手を、自分のほっぺに当てて、「ええな〜」。
そして、お母ちゃん(富田靖子)のほっぺにも当てて、一緒に「ええな〜」。う~かわいすぎる!!

■喜美子がいる大阪に、お金の工面を頼みに来た常治。いつも、わがまま、暴れん坊のお父ちゃんが、別れ際、喜美子に声をかけられ、犬のように戻ってくる様子がかわいかった。そして、大久保さん(三林京子)の「いけず」が続き過ぎず、この回、いいタイミングで種明かし的に一気に人間味が出てきて、ぐっときたし、ホッとしたし、スカッとした。最後、喜美子と大久保さんとじゃれ合うシーンもすごくよかった。

■若い頃の圭介はしょーもなかった。その気もないのに、喜美子への行動が軽率すぎる。おはぎくらい最後にもらってやれ。あげるつもりで作ったおはぎを、自分で食べるのは、辛すぎる。終盤で、圭介が再会したちや子さんに、おはぎのつっこみを入れられたという説明話があって、スカッとした(笑)・・・そんな話ができる時間の経過というものはすばらしい。
結果的には、圭介がまともな医者になっていてよかった。
ちなみに、圭介がご執心だったあき子さん(佐津川愛美)を見るたびに、『最後から二番目の恋』での「金太郎」役が印象的過ぎて、つい「金太郎」とつぶやいてしまう。

■草間さん(佐藤隆太)が、喜美子に背中を押され、探していた奥さんが、別の人と一緒に働く食堂にお客として行き、最後、黙って離婚届と一言の置き手紙だけで出ていくシーン。草間さんの愛情が素敵すぎるし、切なすぎる・・・。

☆武志が成長し、離れていた親子、夫婦の時間を埋めていく数々のシーンが素晴らしかった。ここから急激に、このドラマの、人間の繊細な心のひだの表現力に、吸い込まれていく。

■武志、喜美子に幼い頃の話をする。
ずっとテレビを欲しがっていた武志に、喜美子が「やっと来たで!」。
武志は「お父ちゃんやと思った。」
このあと、ずばずばと思っていたことを喜美子にぶつける、大人になった武志。
とても重要な時間。会話。

■武志、お父ちゃん(八郎)との5年ぶりの再会。「おう。」の一言で、たぬきそばを一緒に食べられたのは、5年間の手紙のやり取りがあったから。時間を埋めた、手紙の存在の重さ・・・。そして、しばらくした後、お父ちゃんにも、数々の直球の質問をぶつける武志。

→→→人生、知らないふりをしてやり過ごすことも必要な時はたくさんあるけれど、ガッツリ本心を話さなければならない時、逃げてはいけない、重要な時があると思う。

■再会した喜美子と八郎。ぎこちなく苗字で呼びあう姿が切なく、喜美子の微妙な表情が上手い。
「普通に行こう!」と呼び方を戻すやりとりも、かなりリアルな感じで、引き込まれた。

→→→やはり時間の経過は、大きな力を持つ。

■武志のお見舞いで、真奈(松田るか)。
周りにわからないように、「逢いたかった」の文字。
「会い」でなく「逢い」にキュンときた。
この時にはまだ、はっきりした関係でなかったのに・・・これは勇気ある告白。
その後、自分の病気を思い、冷たくする武志に、普通、嫌われているのか、自分は必要ではないのかと、不安な気持ちを自分に向け、距離を置いてしまうところだが、本気で武志を心配し、強い意志で向き合い、気持ちをぶつけた真奈。そして、最後まで支え続けた。なかなかできることではない。もちろん、両親の愛は大きく、武志はそれだけも幸せだったと思うが、武志の残りの人生に、真奈がいるといないのとでは、大きな違いがあったと思う。応援したくなる恋だった。

■喜美子に限らず、全体的に、セリフでない表現・・・目を見合わせたり、身振り手振り、細かいしぐさ・・・が自然体で素晴らしく、面白かった。脚本に細かく指示があったらしいが、その脚本も、それを演じ切る演技力もすごい。

■自分の知らない時代からのスタートだったが、小学生時代、歌番組とファミコンにはまっていた私(連打が押しにくい四角いゴムボタン時代からよく知っている)には、ファミコンの登場と、「モニカ」と「涙のリクエスト」にはトキメかずにはいられなかった。

■最後も、皆勢ぞろいでなく、静かに時が進み、でも、力強く、いつもと変わらない一日が続いていくのが心地よかった。

■ちなみに、途中、一週間、不自然にスピンオフもどきの特別編が入って(働き方改革でヒロインを休ませるためという話も?)、なんだこれは?と思ったが、百合子と新作がかわいいので、満足した。

☆最後にもう一度、戸田恵梨香について。

『あさイチ』のプレミアムトークに出演した戸田恵梨香。
30年以上前の時代の40代後半の姿に見慣れていると、髪型も変わっていて、年相応な姿に、かなりのかわいさ。
しかし、改めて、ノーメイクに近い状態でも、喜美子は、人間としての美しさで勝負していることに気づく。

信楽太郎のサプライズ登場の時の、戸田恵梨香の笑顔は最高だった!

ご本人も、真骨頂だったという、一つのものを極める姿に対して、「たくさんのものを犠牲にして、陶芸に対して熱を注ぐ狂気じみた熱意に自身もドキドキした。」と言っていたが、素晴らしい脚本と相まって、その他の細かい演技の一つ一つに、改めて、恐ろしいほどの確実な演技力と、プロ魂を魅せつけられた。

・・・こんなところでしょうか。

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